漫画喫茶(ネカフェ)で読めるおすすめ歴史マンガ厳選2作!!

僕は学生のとき、日本史の勉強が嫌いだった。登場人物はやたら多いし、教科書に書かれたストーリーもおもしろくなかった。

そもそも選択科目で日本史を選んだ理由は、世界史に比べれば登場人物とか出来事がカタカナではなく漢字で、比較的覚えやすいだろうと思ったからに過ぎない。

嫌いな日本史の授業ではあったが、高校生のときの日本史教師の言葉は、いまだに心の中に残っていた。

当事者意識を持て!

その授業中に当事者意識を持てたかはおいといて、あれから7年経った今でもその言葉は脳の片隅にきちんと収納されていた。

 

同じ出来事でも立場によって異なった見方をすることは、歴史だけでなく日常にも多々あることだろう。ましてや、勝者が書き換えることができる過去のことであれば、真実はなかなか分からない。

そのため、学校の歴史の授業ではえらい人たちが話し合って決めた定説を教えることになる。ただ、同じ出来事においても、その定説になるほどの根拠が揃ってないけど、別な可能性として諸説ある。

「 雪花の虎」東村アキコ

日本史に詳しくない人でも名前くらいは聞いたことがあるであろう上杉謙信は、とにかく戦が強く、仁義に熱い将軍であった。そんな彼が、実は女性だったのではないかという説がある。

なんと、上杉謙信は戦中であろうと、月に1度満月のときに数日間、離れた屋敷に閉じこもっていたというのだ。これが月経だったのではないかと考えられている。また、謙信は当時としては珍しく嫁や子供がいなかったそうだ。

東村アキコさんの「雪花の虎」は、そんな説をを基にした、もしも上杉謙信が女性だったらという物語である。

「雪花の虎」の中には、他にも女性だったことの根拠が出てくるので、本当に女性だったのではと考えてしまう。

教科書を疑う第一歩になるだろう

雪花の虎 1 (ビッグコミックス) (ビッグコミックススペシャル)

雪花の虎 1 (ビッグコミックス) (ビッグコミックススペシャル)

 

「信長を殺した男」藤堂裕,明智憲三郎

「信長を殺した男」は、明智光秀の子孫である明智憲三郎が作者として名を連ねている。

明智光秀が織田信長を裏切り本能寺の変を起こしたという定説を裏返したいということだろう。

現在は4巻まで発売されていて、本能寺の変の真相については明らかにされておらずかなり楽しみな展開だ。

マンガの中では秀吉が悪く描かれており、明智光秀から見るとそう見えるのかなと感じている。

信長を殺した男?本能寺の変 431年目の真実? 1 (ヤングチャンピオン・コミックス)

信長を殺した男?本能寺の変 431年目の真実? 1 (ヤングチャンピオン・コミックス)

 

 

 

「雪花の虎」と「信長を殺した男」が、これまた歴史の真実であるとの結論にはならないが、自分が勉強した日本史とはまたちがった日本史を知ることで、物事には複数の見方があるという当たり前のことを学べる。

そのような見方をするためには「当事者意識」が欠かせないと思うが、絵が描かれて主人公に感情移入しやすいマンガでは、その意識を持ちやすい。

漫画喫茶で何を読もうか迷ったときは、ぜひ上の2作を読んでみて欲しい。

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仕事に行きたくない日におすすめの本5冊

日曜日のちょうどサザエさんが放映される頃から、僕の胸の中にぐるぐると1つのフレーズが繰り返されました。

「仕事に行きたくない。」

なんとなく憂鬱だと思ったことはあれど、こんなにもはっきりと「仕事に行きたくない」と思ったことはありませんでした。

で、そんなときに助けてくれたのは過去に読んだ愛すべき本たちなんですな。

ここからぼくの相棒たちを紹介していきます。

1.江副浩正

まずはこちら。

江副浩正

江副浩正

 

タイトルどおり江副浩正さんの本で、あの超大手リクルートを創業してから亡くなるまでのことが書かれています。

江副さんは起業したというよりも、人を大切にするひとつの文化を創ったといえ、リクルートの血は今でも脈々と各地を流れ続けています。

この本を読むと仕事のスケールを大きく考えることができ、ただ言われたタスクをこなすだけではなく、仕事をとおして社会を変えることもできるんだと前向きになります。

2.仕事は楽しいかね?

そうは言っても毎日の仕事が単調で退屈なんだよなー。

わかりますわかります。そんなときはこちら。

仕事は楽しいかね? (きこ書房)

仕事は楽しいかね? (きこ書房)

 

「仕事は楽しいかね?」は、主人公が乗る予定だった飛行機が欠航したことを機に、偶然空港に居合わせた有名な経営者から仕事について話を聞く物語形式。

毎日変化し続けることを説いています。

昨日より今日、同じ単純業務を行うにしてもなにか工夫してみてください。

少し早く終わるようになったり、より精度が上がったり、仕事を楽しめるようになるはずです。

3.健康で文化的な最低限度の生活

ちょっと仕事するのも悪くないかなと思い始めたら、仕事をとおして成長する人の様子を。

健康で文化的な最低限度の生活 1 (ビッグコミックス)

健康で文化的な最低限度の生活 1 (ビッグコミックス)

 

公務員の中で最もキツい仕事とされるケースワーカーのマンガです。

生活保護の受給許可とか、家庭訪問とか、自立を促すとかって仕事をしてる主人公の奮闘記。

前向きに仕事に取り組む姿勢からは、学ぶことが多いです。

ついでに生活保護についても学べます。

4.自由をつくる 自在に生きる

そうは言っても自分の仕事にやりがいが感じられないって人のために紹介するのはこちら。

「やりがいのある仕事」という幻想 (朝日新書)

「やりがいのある仕事」という幻想 (朝日新書)

 

なかやか攻めたタイトルです。

あれ、やりがいってなんだ?仕事するってなんだ?

そんなことを、一度立ち止まって考えることができます。

自分にとっての仕事の位置付けがはっきりすると、「やりがい」なんてものがなくても仕事に向き合うことができるはずです。

5.今日もていねいに。

でも、布団から出るのすら辛いんだよ。

いっそのこと交通事故にでもあって入院しちゃえば仕事に行かなくていいのにな。

そんなときはこちら。

今日もていねいに。 (PHP文庫)

今日もていねいに。 (PHP文庫)

 

松浦弥太郎さんの「今日もていねいに。」です。

その日をていねいに過ごすための方法がかかれています。

もし、仕事に追い詰められて自暴自棄な気持ちになっているとしたら、体や心を壊してまで仕事に行く必要はないと思います。

病欠でもなんでもいいから仕事を休んで、大好きな小説でも読んでみてはどうでしょうか。

ここで突然、江國香織さんの無題という詩を引用。

どっちみち

百年たてば

誰もいない

あたしもあなたも

あのひとも

まあ、ちょっとペースを落として、「今日もていねいに」楽しんでいきたいものです。

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旅好きに猛烈におすすめしたいこの1冊!!「深夜特急」

僕は暇さえあればふらーっと旅行してしまう。

細かい計画は立てずに、なんとなく気になる場所へ何泊するかも決めずに行く。

だから、持ち物は旅行することを前提に選んでいて、たとえば読書が大好きなのにも関わらず本棚は持っておらずKindleで購入する。

そんな僕が猛烈に影響を受けた本がこちら。

深夜特急〈1〉香港・マカオ (新潮文庫)

深夜特急〈1〉香港・マカオ (新潮文庫)

 

沢木耕太郎さんの「深夜特急」シリーズ(全6巻)だ。

著者は30歳(あれ、25歳だっけ?)を目前にして、男なら一度は海外を旅せねばと思い、仕事を辞めてバスでロンドンまで行くことに決める。

なんでも、酔狂なことをしてみたかったとか。

 

旅のトラブルはもちろん、旅する生活をしていく中で思い悩む様子も詳細に書かれている。

インドで出会った自分のような旅人の目が死んでいて、自分もそうなってしまうのではないかと恐怖のどん底に落ちてみたり、いざ日本に帰ったらなにしようかと悩んだり、飾らず等身大の旅行記になっている。

だからこそ、かっこいいだけではなくて旅することの恐怖も感じられる。

世界一周したいといってる大学生には、とりあえず読んでみて欲しい。

 

また、本書の時代はスマホが無く、僕たちからするとGoogleマップ無しでどうやって観光するんだ?ってくらいテクノロジーのギャップがあり、そこも読みどころだ。

旅先でバックパッカーと出会った場合、今ならFacebookなんかで友達になるが、この時代はそれぞれのアドレス(住所)を聞いておき後日手紙を送る。

宿を見つけるのにもググるのではなく、勘を働かせながら突撃交渉するしかない。

アプリで英単語も調べられないし翻訳もできない。

本も2,3冊しか持ち運べない。

もう、今が旅人にとっていかに恵まれているか分かる。

 

本書を読んで、僕のように旅へ行きたい衝動に駆られる人が一定数いるはずだ。

今いる場所から飛び出したい人にはぜひ読んでもらいたい。

深夜特急〈1〉香港・マカオ (新潮文庫)

深夜特急〈1〉香港・マカオ (新潮文庫)

 

 

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「論破力」ひろゆきから学ぶ楽しく生きる考え方のコツ(読書感想)

2ちゃんねるの開設者として有名なひろゆき(敬称略)は、Youtubeで「ベーシックインカムを実現するにはどうしたらいいか会議」とか「個人的に楽しくなるにはどうしたらいいか会議」を不定期で配信しています。

ひろゆきはYoutubeの配信でも言っているように、「底辺」に向けて発言することが多いように感じます。

生活保護もらえとか、ハイスペックな人には選択肢にまったく入らないでしょうからね。

偶然こういう動画を見てしまった僕は、まんまとひろゆきの考え方が好きになって「無敵の思考」と「働き方 完全無双」を読みました。

だらだら読書とNetflixで遊んでいれば幸せを感じる僕にとってはぴったりな本でした。

で、ひろゆきの新作が出たということで迷わず購入しました。

こちら。

論破力 (朝日新書)

論破力 (朝日新書)

 

「論破力」というタイトルで、ひろゆきの相手を論破するためのテクニックが紹介されています。

あの某IT評論家とか、某和代さんとかと議論していた動画がYoutubeに残っていますが、それの解説だと思えば分かりやすいです。

論破するための細かいテクニックについては本書を買って読んでもらうとして、ここからは本書から学んだ「個人的に楽しく生きる」考え方を紹介します。

ゲーム化する

職場で上司や同僚と議論しなければいけないのに、気が重いときってありますよね。

そんなときはゲームだと思ってみてください。

ひろゆきは、相手をパターン化しています。

例えば、この人は体育会系だな、という風に。

そのパターンが分かれば、どのように話せば相手が自分の思ったとおり動いてくれるか仮説が立てられますよね。

あとは実戦で検証するだけです。

気が乗らない議論も仮説の検証をするゲームだと思えば楽しめます。

仮説が当たっても嬉しいし、はずれても新しいパターンを見つけられて嬉しいので、どっちにしろたのしいです。

ただ、嫌われるのが怖くて意見が言いにくいと感じてしまうと、なかなかゲームを楽しめないかもしれません。

嫌われてもいい

だから、嫌われてもいいって思えるようになるのが重要です。

単純だけど難しいですよね。

ベストセラーになった「嫌われる勇気」によれば、他人が自分のことを好きか嫌いかというのは他人のタスクであって自分がコントロールできることじゃありません。

だから、他人のタスクを気にしていてもしょうがないってことです。

「嫌われる勇気」を読むと気が楽になりますよ。

嫌われる勇気―――自己啓発の源流「アドラー」の教え

嫌われる勇気―――自己啓発の源流「アドラー」の教え

 

でも、嫌われてもいいからってわざわざ嫌われるような行動を取るのではなく、純粋に「仲良くなりたい」と思って近づいてみましょう。

自分のことを好きな相手って嫌いになりにくいはずです。

犬のようにシッポを振りながら近づいちゃいましょう。

その上で嫌われても知ったこっちゃないってことで。

趣味に没頭する

嫌われることが怖くなくなっても、失敗して恥ずかしい想いをすることがあります。

そんなときのためにも、気楽に話せる仲間がいることが大切です。

僕は「にけつッ!!」という、千原ジュニアとケンコバが2人でトークする番組が大好きです。

2人がおもしろい話をしてくれるのですが、自分達の失敗談も多いんです。

彼らは自分の恥ずかしい失敗ですらコンテンツにしてしまいます。

この視点があれば、失敗すら「おいしい」と感じられるでしょう。

また、嫌な気持ちになってしまったときは趣味に没頭してそのことを考えないようにするのも有効です。

Netflixでドラマの一気観とかいいですよ。

「このサイテーな世界の終わり」なんかストレス溜まったときにおすすめです。

 

今回は「論破力」の本筋からは少し離れた、個人的に楽しく生きるための考え方を紹介しましたが、メインこ論破するためのコツもためになりました。

論破力 (朝日新書)

論破力 (朝日新書)

 

 

 

SF最高傑作ジェイムズ・P・ホーガン「星を継ぐもの」感想・あらすじ

星を継ぐもの (創元SF文庫)

ジェイムズ・P・ホーガン

「星を継ぐもの」

★★★★☆

月面調査員が真紅の宇宙服をまとった死体を発見した。綿密な調査の結果、この死体は何と死後五万年を経過していることがわかった。果たして現生人類とのつながりはいかなるものなのか。やがて木星の衛星ガニメデで地球のものではない宇宙船の残骸が発見された……。ハードSFの新星が一世を風靡した出世作。 

1980年に出版された本書は、舞台となった2020年代に近づいている今となっても色あせないSF界の超巨匠的存在である。 SFにほとんど興味が無かった僕は友達から紹介されるまでタイトルすら聞いたことがなかったが、どうやらそうらしい。

SFへの興味の無さは群を抜いているが、最近宇宙にハマってることもあり、宇宙好きの友達からのおすすめでもあったため読むことにした。

読めば読むほど世界観にズブズブと入ってしまう本書に夢中になって数日、毎晩寝る前に楽しみに読み、ついつい読みすぎて寝不足で仕事に行く毎日だったがそれでも後悔しないくらい楽しかった。「星を継ぐもの」は楽しかった!

まだ読んでいない人のために本書についての説明。①よく分からないプロローグ、②専門用語だらけの謎解き、③解決!の3部構成になっている。これは僕が勝手に分けた3つだ。

①よく分からないプロローグ

プロローグでは、月にいる2人のシーンから始まる。内容に前知識が無かった僕は、頭の中が???となることが多く、挫折しかけた。

同じ気持ちになったみなさん。こんなところで本書を投げ出してしまってはもったいないよ。プロローグを理解していた方が、②や③でより楽しめるのは間違いないけど、辛かったら読み飛ばしてもいい。最後に戻って読んでもいい。なんとなーく話をつかんでおけば十分だから先に進もう。

②専門用語だらけの謎解き

地球人なのかもよく分からない死体が見つかったら謎と解くのが小説だ。ここで謎に興味を示さないような奴は小説の主人公になんかなれっこない。

謎解きでは、各分野のエキスパートたちが集まり、それぞれの専門分野の切り口から1つ1つ解明していく。この②では専門家同士の論理と論理のぶつかり合いが専門用語を交えて起こる。集中して読んでいないとすぐに文章から振り落とされそうになる。宇宙に関する専門用語は理解しづらいし、1980年に書かれたフィクションの宇宙に関する設定のどこまでが正しく、どこまでが空想かも分かりにくい。それでも専門家が導き出す仮定には説得力があり、エキスパートの凄さを実感したりする。

この②が長い。とにかく長い。本書の大部分は謎解きである。最近の物語だったら冗長な謎解きの合間に恋愛要素なんかを入れるんだろうけど、本書ではほとんど無いに等しい。ただただ専門家たちが純粋に目の前の疑問を解決するために力を惜しまない。

中には飽きてくる読者もいるだろう。しかし、こんなところであきらめてしまってはもったいない。よく分からないところは飛ばせばいい。前に進もう。

③解決!

③では2段階でこれまでの疑問に対する、ある種の解答を得ることができる。このカタルシスがたまらない。じっくりと②で専門家たちと悶々としていたからこそ、そういうことだったのか!と感動の瞬間を迎えることができる。そして、プロローグに想いを馳せる。どれくらい覚えているだろうか。あとはじっくり本書の読了感に包まれよう。

読むのが辛いよ

傑作ではあるが読むのに体力が必要な小説でもある。読むのが辛いよって人も安心してほしい。なんと漫画版もある。都内の漫画喫茶では取り扱っているところもあるようだ。設定が異なるところはあるが、一気に3部作分読むことができる。

そう、実はこの小説は3部作となっている。僕も引き続き小説の2部と3部を読もうと思う。傑作「星を継ぐもの」は、僕のように宇宙に興味がある人にはぜひ読んでもらいたい。

1部「星を継ぐもの」

星を継ぐもの (創元SF文庫)

星を継ぐもの (創元SF文庫)

 

 2部「ガニメデの優しい巨人」 

ガニメデの優しい巨人 (創元SF文庫)

ガニメデの優しい巨人 (創元SF文庫)

 

 3部「巨人たちの星」

巨人たちの星 (創元SF文庫)

巨人たちの星 (創元SF文庫)

 

 漫画版

星を継ぐもの コミック 1-4巻 セット (ビッグ コミックス〔スペシャル〕)

星を継ぐもの コミック 1-4巻 セット (ビッグ コミックス〔スペシャル〕)

 

 

「志乃ちゃんは自分の名前が言えない」から学ぶ吃音症の特徴

志乃ちゃんは自分の名前が言えない

あらすじ 

「志乃ちゃんは自分の名前が言えない」の主人公である大島志乃ちゃんは、吃音症で母音から始まる言葉を言うことが苦手です。

志乃ちゃんは高校に入学しました。初日の恒例行事といえば、自己紹介です。彼女の名字は大島で、「お」という母音から始まるため発音するのが苦手です。苦手だと思うとより緊張して上手く言えなくなってしまいます。前の晩に練習するものの、案の定当日はみんなに笑われる結果となってしまいました。

そんな志乃ちゃんが友達をつくり、喧嘩し、歌い、様々な想いに葛藤していく話です。

吃音症の特徴

連発型と離発型

吃音症には「連発型」と「離発型」があります。

「連発型」は「おおおおはよう」のように最初の音を連発してしまう症状で、離発型は言葉が出てこなくなってしまう症状です。

志乃ちゃんは「離発型」。

話せるかどうかには波がある

吃音には波があって、そのときの調子によってスラスラ話せたりつっかえることが多くなったりするそうです。

志乃ちゃんも比較的スラスラ話せるときもあれば、全然言葉が出てこなくなってしまうこともありました。

歌ではつっかえない

志乃ちゃんは歌うときは吃音の症状が出ませんでした。メロディーに乗せることで言葉が出て来やすかったのかもしれません。

苦手な言葉を言い換える

志乃ちゃんは、「ありがとう」を「サンキュー」と言い換えていました。母音から始まる「ありがとう」を発音するのが苦手であるため、代用できる言葉に変えたのです。

吃音症の人は、このように自分が発しやすい言葉に変換することが多々あるようです。

誰にでも当てはまる漫画

志乃ちゃんは吃音症ですが、漫画の内容は普遍性のある物語になっています。

僕も学生時代には、言いたいことが言えなかったり、言いすぎてしまったり、そんな後悔をしてばかりでした。いや、今でもです。さらに、自分のコンプレックスがコミュニケーションの邪魔をしていることもあります。

でも、志乃ちゃんが言うように「これがずっと私」なんです。

自分の嫌なところも受け入れて逃げずに進む。そんな勇気を与えてくれる漫画です。

1巻で完結してサクッと読めるのでおすすめです! 

志乃ちゃんは自分の名前が言えない

志乃ちゃんは自分の名前が言えない

 

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【読書感想】音楽より音が聴こえる恩田陸さんの「蜜蜂と遠雷」

今日は恩田陸さんの「蜜蜂と遠雷」について。

アメトークの読書芸人でも紹介されたりと、けっこう話題になっていたのでタイトルは知っていましたが、なんだかんだ後回しになってようやく読みました。

はい、素晴らしい。

わりと長い本ですが、いざ読み始めたらいっき読みしてしまうくらいのめり込めました。

あらすじ

3年ごとに開催される芳ヶ江国際ピアノコンクール。「ここを制した者は世界最高峰のS国際ピアノコンクールで優勝する」ジンクスがあり近年、覇者である新たな才能の出現は音楽界の事件となっていた。

養蜂家の父とともに各地を転々とし自宅にピアノを持たない少年・風間塵15歳。かつて天才少女として国内外のジュニアコンクールを制覇しCDデビューもしながら13歳のときの母の突然の死去以来、長らくピアノが弾けなかった栄伝亜夜20歳。音大出身だが今は楽器店勤務のサラリーマンでコンクール年齢制限ギリギリの高島明石28歳。完璧な演奏技術と音楽性で優勝候補と目される名門ジュリアード音楽院のマサル・C・レヴィ=アナトール19歳。

彼ら以外にも数多の天才たちが繰り広げる競争という名の自らとの闘い。第1次から3次予選そして本選を勝ち抜き優勝するのは誰なのか?

Amazon商品紹介より(https://amzn.to/2BuR7dV

1人1人の人生を感じる

コンクールに出る人はもちろん、審査員も含めてたくさんの人が登場します。それは主人公が誰とは言えないほどです。

物語は3人称で進んでいきます。どこか遠くから彼らを見ているような書きぶりです。あまりにも冷静で、それなのに感情にも訴えかけてきます。

不思議な文章だなと思っていたら、物語の中の登場人物の状況と重なる部分があり納得しました。

それは、ピアノを弾いているときに訪れることがあるゾーンに入った状態でした。

ピアノの1音1音に感情を乗せていながらも、自分を上から見下ろすように冷静な自分もいる。「遠雷と蜜蜂」はそんなゾーン状態のような文章でした。

登場人物が多いことは前述のとおりですが、その視点変更の滑らかさにも驚きました。

油断していると異なる登場人物の視点に変わっていたりするんです。まるでメドレーを聴いているように。

さらに、短い文章と細かな段落分けをすることで、文章のテンポを物語の中で変えていたりもしました。

このような効果的な手法を使いながら、多数の登場人物に存在感を与えることができている恩田陸さんはさすがとしか言いようがないです。

名前を覚えることが苦手な僕でも、それぞれの姿を想像しながらそれぞれの人生の一部を覗かせてもらい、それは忘れることができないくらい鮮明な思い出になりました。

余談ですが、登場人物が多数出てきて、それぞれが魅力的であることからか、「遠雷と蜜蜂」を読んでいる中で「三国志」と重なるように感じることもありました。

音楽より音が聴こえてくる

あらすじにあるようにピアノコンクールが舞台ですが、1つの疑問が浮かばないでしょうか。音はどうするの?と。

小説は文字だけで映像や音が無いことが表現方法としての魅力です。だからこそ想像力に頼った表現が可能です。

ちょっと脱線して小説ならではの表現が分かる文章をマイク・タイソンの自伝(https://amzn.to/2LdiyZ5)から引用します。

『俺たちは銃を抱えて路上を歩いていた。近くにお巡りもいなかった。ピューマの野郎!歩き続けると、ピューマボーイズの何人かが通りに停まっている車と車の間に隠れていることに気がついた。俺はM1ライフルを手に素早く振り返ると、拳銃を持ったデカい男が俺に狙いを定めていた。「一体なにをしてるんだ!こんなところで!?」とそいつは言った。俺の兄貴のロドニーだった。「さっさと家に戻れ!」。そのまま公園を出て、家に帰った。まだ10才の頃の話しだ』

マイク・タイソン「真相」(https://amzn.to/2LdiyZ5)から引用

どうですか。散々、物騒な話をしているので、読者の頭の中にはそれなりの体格のマイク・タイソンがいるはずです。ところが最後に「まだ10才の頃の話しだ」で、一気に驚きますよね。そんな小さい頃かい!って。

映画なんかでも表現するのは不可能ではないかもしれませんが、小説だからこそできることの1つだと思います。

「遠雷と蜜蜂」の話に戻ると、本書はピアノを引くシーンがかなり長いです。いったいどうやって文字で表現しているのか。

とにかく本書を味わって欲しいのですが、あまりにも豊かすぎる比喩や語彙を用いてクラシックの音楽を表現しています。

僕はクラシックの音楽についてほとんど知識をもっておらず、曲が長すぎて退屈だと感じてしまうほどです。だから、解釈もなにもないんです。

ところが本書の文章をたどることで、音楽とはこんなも深いものだったのかと驚きました。音楽へ理解ある人は、同じクラシック音楽を聴いたときにこんなにも豊かな心の 動きをしていたのかと嫉妬すら覚えるほどでした。

もし同じシーンを映画で撮るなら、本当にピアノを弾いているシーンを入れるでしょう。のだめカンタービレみたいに。しかし、これでは本書で経験したような音楽に対する深みのある理解は到底できなかったでしょう。

文章で音楽を表現する見事さはなかなか味わえるものではないので、ぜひ本書で楽しんで欲しいです。

「羊と鋼の森」と一緒に買われている

ふとAmazonの「遠雷と蜜蜂」にページを見ていたら、「よく一緒に買われる商品」に宮下奈都さんの「羊と鋼の森 」が挙げられているではないですか。

「羊と鋼の森」はピアノの調律師の話でした。とても静かだけど情熱に満ちた物語だったように記憶しています。

「遠雷と蜜蜂」でもあまりメインにはならないものの調律師が出てきます。コンクールの奏者に合わせてピアノの調律をしたり、ピアノの位置を調節したりしていました。

ピアノの調律師については、フェルミ推定の問題でしか知らなかったので、小説を通して身近に感じる経験はいいものです。

今回もクラシックのピアノコンクールという僕の人生からはかなり遠い世界の話を知ることができました。これぞ小説の醍醐味といったところでしょうか。

クラシックが好きな方はもちろん、そうで無い方にも自身を持っておすすめできる1冊です!

蜜蜂と遠雷

蜜蜂と遠雷

 

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